浅田 顕「ロードレースはシナリオのあるノンフィクションドラマ」

Posted on: 2010.08.02

 「楽勝」とは言い難い戦いぶりとタイム差でアンディー・シュレック(ルクセンブルグ)を押さえてツール・ド・フランス3度目の個人総合優勝を果たしたのはアルベルト・コンタドール(スペイン)。皆さんは今年のツールをどんな風にレースを追っていただろうか?

 サイクルロードレースは分かりにくいスポーツ。見る側のレースの追い方も様々であるが、走っている選手もそれぞれ狙うものが違うことが多く、初めてレースを見る方は何を見て良いのか分からないのは当然。景色が綺麗、選手の脚がカッコいい、ハンサムな選手が多いなど、入り方には色々な動機づけがあると思うが、私の場合は「常識を超えた驚き」と「人間ドラマ」に感銘しレースに入り込んだ。最初は展開など全く解らず疑問だらけ。なぜ1番でゴールしないこの人が黄色いジャージを着ているのかさっぱり解らず、更には、なぜ落車して血を流してまでゴールするのか、なぜ自分自身で勝たないのか? なぜ朝からステーキなんか食べるのか、トイレはどうしているのかとか、ガードレールの無い下り坂をあんなに飛ばしてもいいのか? 等々不思議の尽きないスポーツだった。しかし当時の専門誌の情報を何度も読み返したり、感動的な写真や映像を目にするうちにこのスポーツが分かってきた。これはドラマなのだと。

AUTHOR PROFILE

浅田 顕 あさだ・あきら/ツール・ド・フランス出場をめざすプロ自転車チーム「エキップアサダ」代表。自身の豊富な海外レース経験を活かし、主にヨーロッパで活動を続けている。日本人選手育ての親といわれ、新城・別府・宮澤等海外のプロチームで活躍する日本人選手を多く育てている。現在、自身が監督としてEQAU23を率い、次世代の若手育成にも励んでいる

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