中川裕之「ダウンヒルシリーズ再開の判断」

Posted on: 2020.06.27

僕が首謀している自転車のレースイベントでダウンヒルシリーズという大会があります。

大会規模は参加者、関係者、観客を含めて100人程度、北海道ニセコ会場から宮崎県法華嶽会場まで、会場は全国に点在し、どちらかというと人里離れた山奥などで、スタート台から1人で出走し、マウンテンバイクで山の中を走り、そのタイムを測って、いちばん速い人が勝ち!という個人タイムトライアル競技です。

MTBダウンヒルという種目は残念ながらオリンピック競技ではありませんが、日本国内でもJCF日本自転車競技連盟の公認大会があり、国際的にもワールドカップが開催されており、自転車競技の中ではマイナーな部類かもしれませんが、一部熱狂的なファンに支えられています。

我々のダウンヒルシリーズは公式戦ではなく、かといって完全なローカル大会でもなく、全国を転戦する草レース的なポジションになろうかと思います。

「さて、どうするか」

たくさんの人が集まるイベントの開催には昨今のCOVID-19の影響を受け、多くの大会が中止を余儀なくされているのは皆さんご存知の通りです。

そこで我々はいま、何をどう判断すれば良いのか、これは悩ましい問題です。

内情的な話をすると、ダウンヒルシリーズを開催しなければ倒産しちゃう!とか、誰かがとても困って、どう捻じ曲げたってなんせ強行しないと生きていけない!という事情はありません。

幸か不幸か事実です。

なので僕はたくさんの人とイベント開催についての話をするときに、最大の間口を広げて「今年はやめておきましょう!」「中止するしかありませんですね」「とてもじゃないけど開催なんて無理!」という意見を聞けるように注意を払っています。

立場に関わらず、そういった意見が関係者から出ている中で開催するなんていうのは僕は無理です。どちらかというと、あえて中止の意見が出やすいように誘導するような言葉も使っています。

そんな諸々の事情の中、散々協議を重ねて、それでもダウンヒルシリーズ吉無田大会は開催することになりました。

いろいろ考えるに「中止」というのが一番ラクなんだな、とも思いました。その判断はとてもマトモで、反対されることもいまは少ないでしょう。第三者も納得してくれる土壌が熟成されています。

一方で、その判断をいつまで続けるの?イベントを再開するにあたってややこしい書類作ったり、何かあったときの責任は?なんていう面倒な話からいつまで逃げるの?といった側面も存在し、我々ぐらいの小規模団体からイベントを再開させて、事前に立てた対策について「うまくいきましたな」「問題なかったですね」「こうした方がより良かったですね」という実績を積んでいくしかないのではないか。という考え方もあります。

今の、この判断が正解なのか、または不正解でCOVID-19をさらに蔓延させて直接的、間接的に人の生死にまで影響してしまう事になってしまうのか。答えはわかりません。

それは数年後に歴史の中で見えてくるものでしょう。

こういった状況の中で、我々は今までと違ったかたち、COVID-19が普通にまだ世の中に存在している中で、知恵と行動で日々過ごしていくしか無いのかもしれません。

いま、ダウンヒルシリーズに、もしくはその他イベントに参加しようとしている皆さんは、僕があれこれ言わなくても、もう嫌というほど、誰一人例外なく、COVID-19の影響を受けて、その中で対策し、判断し、生活していると思います。

さて、どうするか?ご自身の判断で、焦らずじっくり決めて下さい。たぶん、来年も、その次も、ダウンヒルシリーズは存在しているはずです。

その上で、この状況の中でも、我々のイベントに来られるというのなら、大歓迎、ガッチリ感染拡大防止対策をして、しっかり楽しんで帰ってもらいたいと思っています。

また、最後になりますが、情勢の急変によって、それが大会前日や当日であったとしても、中止と判断する材料が見つかった場合には、躊躇なく、大会を中止する可能性がある事をご理解下さい。

DOWNHILL SERIES実行委員会
代表 中川裕之

https://www.facebook.com/dhseriesjp/

AUTHOR PROFILE

中川裕之 なかがわ・ひろゆき/'06年、大きな病気を乗り越える過程で写真を撮り始める。MTBレースを題材とする写真家として、国内はもちろん、世界選手権やワールドカップを追いかけて日々山の中で過ごしている。MTBのコアな部分にフォーカスした雑誌SLmの発行人。 筆者の運営する公式サイトはこちら

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