福島晋一「ドキドキの本質」

Posted on: 2018.07.18

子供はなぜいたずらをするか?

人間には「どきどき」することを求める本質があるからである。よく考えたら、動物だっておなじだ。悪いことをすることが子供にとって成長において重要な枠割を果たしていると思う。

子供のころに悪いことばかりをしていた子供が大人になって成功する例もある。

悪いことをするのは「スリルがある」。そのスリルを求める気持ちと、社会のルールを守る はざまで人は生きていると思う。

このスリルを求める気持ちは誰もが持っていると思うが、子供の時にそれを燃焼させられるかどうか それは教育者にとって大事だと思う。

先日のフランス式コーチングセミナーでもあったが、6歳から12歳までの子供は全部うのみにしてしまうから、危険だという。だから6歳から12歳までの間にスリルを味わいたい気持ちを良い方向で燃焼させること

良い方向とはスポーツである。

自分でするのもあるし、自分でできないときは応援することでドキドキする経験もできる。つまり、スポーツはやるのも見るのも このドキドキ感が醍醐味である。

悪い方向のドキドキは、犯罪であったり、露出狂であったり、ただ、この手のどきどきはごく一部の人としか感動を共有できない。

最近、よくユーチューブで危険なことをして注目を浴びる人がいる。

リスクを冒して、たまに失敗して後遺症が残ったり、死んでしまったりすると、それを見ている人は「ほれ見たことか!」と同情どころか、それを利用してストレスを発散したりする。それは挑戦できないことへの妬みも見え隠れする。

原始人から今までの人間の歴史をみても、わざわざ 危険なことをする必要がないほど人生はリスクの連続であった。戦争があれば、やるかやられるか。食べ物を取ることですら命がけ。

そして、航海に出て新しい発見をする。
そして、その延長線上で人は宇宙に飛び出していった。

最近は不景気で、人は宇宙の話ができなくなった。
昔は景気関係なしに人は夢を追い求めてきたと思う。

それが結果的に人類を進歩させて来たと思うが、理想的な世の中になった今、人はゆっくり退化を始めてきていると思う。

今の大人の役割は子供達に良い方向での「ドキドキ」感を与えること。そのためには、自分たちも子供と「ドキドキ」感を共有することが大切だと思う。

「生まれてこの方悪戯をしたことがない」という人はいないと思うが、その人はきっと面白みがない人間だともう。

子供が悪戯するのは、よい方向の「ドキドキ」と悪い方向の「ドキドキ」の区別と限度を知るために重要なことで、それを大人はうまくリードする必要があると思う。

まるで無防備な集団からアタックするスリルったら、ありゃしない。

AUTHOR PROFILE

福島 晋一 ふくしま しんいち/岡山県出身 1971年生まれ。20歳からロードレースを初め、22歳でオランダに単身自転車武者修行。卒業後、ブリヂストンアンカーに所属し2003年全日本チャンピオンを獲得。2004年ツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝、2010年ツールドおきなわ個人総合優勝。2003年から始めたチーム「ボンシャンス」代表に就任。2013年シーズンを最後に引退。JOCのスポーツ指導者育成制度でフランスのコンチネンタルチーム「ラ・ポム・マルセイユ」の監督として2年間の研修を経て、現在はアジアのロードレース普及を目指しアジアサイクリングアカデミーを主宰している。 アジアサイクリングアカデミー筆者の公式ブログはこちら

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