BMXレースJr世界ランク1位中井飛馬が挑む世界選2018「ジュニアタイトルは通過点」〜後編〜

Posted on: 2018.06.07

全日本ジュニアチャンピオン、アジアジュニア王者、そして、現在ジュニア世界ランキング1位(6月7日時点)という肩書を持って、世界選手権に挑む日本の次代を担うBMXレーサー、中井飛馬(なかいあすま・17歳・新潟/日体大荏原高校)。

昨年、ジュニアにあがって以降、一気に世界との差を縮めた中井。その理由はどこにあるのか?追う立場から、追われる立場へと逆転した今年、果たしてどんな思いで世界選手権の舞台に立とうしているのか。戦いの舞台、アゼルバイジャン出国前にインタビューを行った。

後半は、ジュニアタイトルを狙う今年の世界選手権についてインタビューした内容を紹介する。

■世界選手権直前の心境は?

昨年、ジュニアカテゴリー1年目で世界選手権4位に入った中井は、国内はもちろん世界的にも注目を集める存在へと成長した。そうした中、1つの心境の変化があった。それは、追う立場から追われる立場に変わり、負けられないプレッシャーを感じ始めるようになったのだ。

「世界選手権以降、勝てる人とのレースが怖くなりました。今年5月のアジア選手権は、いつもの100倍くらいプレッシャーを感じてました」

オリンピックでの金メダル獲得を夢に掲げて挑戦を続ける中、アジアでは絶対に負けられなかった。そんなプレッシャーを乗り越えてしっかりとアジアタイトルを獲得した中井は、大きな経験を手にして、再び成長ができたと実感したという。

それは、世界ランキング1位で挑む世界選手権直前の心境を伺ったところ、「とにかく、すごく楽しみです。小さな子供のように、ワクワクとドキドキです。」という答えからも伺うことができた。

■コースの印象は?
今回のアゼルバイジャンのコースの印象を聞いたところ、「ここ数年の世界選手権のコース設定に比べると難易度が下がった印象」という。オリンピックの正式種目になって以降、コース設定の過激路線が強まる中、ここ数年は世界的にもコースの難易度が下がっている傾向にある。そうした中、勝つために求められるのが、走りの精度だ。

「バーム超えはなくて第1ストレートもジャンプが小さい。ただ、難易度が下がると小さいミスで差が出てくるので、そこに気をつけないといけません。なので、プッシュや、ライン取り。漕ぎの回数。細かなところが勝負の分かれ目になってくると思います。」

■勝負のスタートへの不安は?
BMXレースの勝敗の鍵を握る最大のポイントがスタート。日本人ライダーがパワーのある世界の強豪相手に勝つために大きな課題となっている。そうした中、中井は怪我中のリハビリを経て、体幹、筋力アップを測ったことで、スタートでも大きな成長がみられたという。

「スタートは少しずつですが、改善されています。今年のワールドカップのフランス大会で、スタートからスタートヒル下のタイムをみたところ、全体およそ230人中、30番代で走れていました。ワールドカップではエリートカテゴリーと混走なので、ジュニアだけみたらトップに近いタイムだったと思います。ちょっと前まではスタートが遅かったので、レース前は、後方からどうやって追い上げるかを考えていましたが、今は、スタートで前にでて、自分の走りに集中することができています。」

■ライバルの存在は?
同世代が強豪ひしめく世界選手権。ジュニア世界ランキング1位の中井にとって、今大会で注意すべきライバルの存在はいるのだろうか?

「実は、同世代のライバルでオーストラリアのアイザック(KENNEDY Izaac)という選手がいるんですが、直前のワールドカップで転倒して、今回の世界選手権には出場しないことが決まったらしいです。正直、喜んでいいのか、残念というか、複雑な思いではあります。他にもフランスのレオ(GAROYAN Leo)や強い選手もいますが、勝てない相手ではないと思ってますし、自分も優勝候補の一人だと思ってるので、自分の走りをするだけです。」

■世界タイトルをとるために重要な要素は?
8人同時スタートして勝敗を決するBMXレース。トーナメントを勝ち上がり、最後まで予想もつかない展開が繰り広げられる中で、中井自身、世界タイトルをとるために必要な要素はどこにあると考えているのだろうか?

「とにかくいつも通りの走りをすること。今までは、スタートで出れなかったのでいろんなことを考えてましたが、スタートで出れる自信もあるので。あとはミスしないことですかね。ただ、それが一番むずかしいんですけどね。あくまでジュニアタイトルは通過点にすぎないので、気負い過ぎずにチャンピオンをとってきたいと思います。」     

様々な経験をつみ、有言実行で新たなステップをふんできた中井。自分の課した目標、ジュニアタイトル獲得を手にして、エリートカテゴリーへの階段を登ることができるのか。

現地8日からエリートカテゴリーと共にトーナメントがスタートする。

前篇:中井飛馬、急成長をとげた軌跡

▷大会オフィシャルサイト
http://bakubmx2018.com/

Text:Akihiro Tsugimatsu

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