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BMXレースJr世界ランク1位中井飛馬が挑む世界選2018「ジュニアタイトルは通過点」〜前編〜

Posted on: 2018.06.07
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全日本ジュニアチャンピオン、アジアジュニア王者、そして、現在ジュニア世界ランキング1位(6月7日時点)という肩書を持って、世界選手権に挑む日本の次代を担うBMXレーサー、中井飛馬(なかいあすま・17歳・新潟/日体大荏原高校)。昨年、ジュニア1年目で挑んだ世界選手権では、決勝に進出し4位。ゴール手前のミスで惜しくも表彰台をのがしたものの、男子では史上最高位を塗り替えるビッグリザルトとなった。

昨年、ジュニアにあがって以降、一気に世界との差を縮めた中井。その理由はどこにあるのか?追う立場から、追われる立場へと逆転した今年、果たしてどんな思いで世界選手権の舞台に立とうしているのか。戦いの舞台、アゼルバイジャン出国前にインタビューを行った。前編は、急速に成長をとげた、その理由を探った。

■BMXレースのオリンピックの歴史とともに始まった競技人生
中井がBMXレースを始めたのは2005年。それ以降、根っからの負けず嫌いも後押しし、BMXレースに一気にのめり込んだ中井。その後、視線の先は、自然と本場アメリカ、世界へと向けられていく。

また、中井がBMXレースを始めた頃、同時にBMXレース界も大きなターニングポイントを迎えていた。2008年の北京オリンピックから正式種目になることが決定し、その対応に動き始めたタイミングだった。国内外のトップレーサーたちがオリンピックをターゲットに動き出すなか、中井の中にもオリンピック出場への思いが宿っていくのは自然の流れだった。

■9歳から本格的に始まった世界挑戦
中井が初めて世界選手権に出場したのは2009年。その後、2011年には年齢別チャレンジカテゴリーで決勝に進出して4位。初のワールドゼッケンを獲得すると、その後3年連続で世界選手権4位に入り、さらに2013年には24インチのクルーザークラスでも4位となった。

持ち前の負けん気の強さ、スキルの高さは世界の同世代にも引けを取らなかった中井だったが、2014年以降、突如として結果がでなくなる。当時、まだ身体が小さくパワーでライバルたちに劣っていた中井は、周囲の成長と共にスピードに対応できなくなっていった。

そうした中で、東京五輪の開催が正式にきまり、大きな目標をもった中井が大きなターニングポイントを迎える。それが怪我だった。

■心機一転のはずが、思わぬ展開に
2016年高校進学にあたり、中井は、現日本代表監督の三瓶将廣氏に指導をあおぐために、故郷の新潟から引っ越し都内の高校に入学することを決断した。しかし、心機一転、新たな環境で競技に集中することとなった矢先、肘の痛みが襲う。

BMXの基本技術プッシュといった縦の動きへの対応で肘への負荷が過剰となり痛みが生じていた。いわゆる「野球肘」と同じ症状だった。結果、医者との相談の上、手術を決意した中井は、しばらくレースから遠ざかることを余儀なくされることとなった。

それまで、結果が出ない時期も「今は勝負のときではない」との周囲からのアドバイスもあり、特に焦りや不安は感じることはなかったという中井だったが、怪我により全くコースやレースから離れたこの時期は、さすがに不安が襲ったという。

■地道なリハビリで掴んだ成長のチャンス
手術後、リハビリを国立科学スポーツセンター(JISS)で行った中井。焦りを抑え「できることをやろう」と気持ちを切り替えた。そして、リハビリプランをたてるために身体検査をした結果、ある指摘をうけた。それが「体幹の弱さ」だった。

当時、体幹強化の重要性は、それほど認識してなかった中井だったが、自転車に乗れない中でやれることを考えた結果、その指摘を真摯にうけとめ、ひたすら体幹強化に専念することとなった。

更に、怪我の経過をみてはじめたのが、フラットな場所で行う自転車の基礎スキル練習だった。プッシュのような肘の動きを必要とする縦の動きは制限されてコースに出れない中、自転車のコーナリングやウィリーといった基礎技術を見直していった。

すべてが、怪我がなければやらなかったことだった。それが強くなることだと信じて、ひたむきに腐らずにやり続けた。

■復帰後に感じた進化
医者からゴーサインがでたのは、2017年の1月だった。痛みが出てから8ヶ月がたっていた。すぐにアメリカに合宿にいき、約1年ぶりに本格的なコースでのトレーニングをする中で、驚くほど自分が速くなっていることに気づいたという。

「地道なトレーニングは間違いではなかった」と確信した瞬間だった。

中井いわく、体幹を強化したことで、重い負荷をかけたスクワットなどが出来るようになり、パワー強化にもつながったという。さらに、実戦においては、スタートでゼロから爆発的なパワーを瞬間的に出す際にも、レース中に必要なバイクコントロールにも、全てにおいて体幹が必要になってくることを実感していったという。

復帰後、確かな手応えを感じた中井は、1月に復帰した後、4月に再び手首を負傷する。それでも、7月の全日本選手権、世界選手権に照準を合わせてしっかりと準備を進め、結果、全日本選手権で同世代のライバルたちをおさえ、圧勝でジュニアタイトルを獲得。さらには、世界選手権で男子ではジュニアカテゴリーでは日本人初となる決勝進出を決めて、4位に入った。。

■リハビリ中にたてた2020年までのプラン
中井は長い地道なリハビリ期間中、夢の東京オリンピックでのメダル獲得に向けたプランをたて、1年毎にクリアすべき目標を立てたという。そのプランによると、復帰後の2017年は、「全日本タイトル獲得と世界選手権で決勝進出を達成すること」だった。

そして着実にその計画を遂行した中井の2018年のプランは、「アジアタイトル獲得と世界選手権ジュニア優勝」だ。

5月下旬のアジア選手権でジュニアで優勝し1つ目をクリアした中井の次なるターゲットは、ジュニアカテゴリー挑戦最後の年となる今年の世界選手権での世界タイトル獲得だ。

「ジュニア世界タイトル獲得は、あくまで通過点。」と語る中井。そのための準備はすべて行ってきた。困難を乗り越えてきた中で手にした自信が、世界舞台で大きな武器となるに違いない。

▷大会オフィシャルサイト
http://bakubmx2018.com/

後編:今回の世界選手権について

Text:Akihiro Tsugimatsu

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