女子BMX界の可能性を広げる快挙!大池水杜がフリースタイルパークW杯で初優勝

Posted on: 2018.05.12

5月9日にフランスで開幕したアクションスポーツの祭典「FISE(フィセ)ワールドシリーズ」と併催されているUCI BMXフリースタイルパークのワールドカップで、11日女子決勝が行れ、日本代表の大池水杜(おおいけみなと)が85.4ポイントを獲得して優勝。東京五輪から正式種目となり注目が集まる中、世界大会参戦2年目のシーズンで日本人初の快挙を成し遂げた。


©Matthieu Metivet-FISE

東京五輪が正式種目決定をうけて、UCI(国際自転車競技連合)の統括することになったBMXフリースタイルパーク。運営は、世界のアクションスポーツ界を牽引する「FISE」が担い、 様々なアクションスポーツ種目が同時に開催される「FISEワールドシリーズ」と併催する形で、BMXフリースタイルパークのワールドカップが行われている。

昨年の11月に中国・成都で行われたUCIが主催する初の世界選手権で、4位に入った大池。表彰台まで後一歩届かなったものの、世界で戦える自信を手にし、2018年新たなシーズンに挑んだ。しかし、4月に広島で行われたワールドカップ初戦では、自国開催に奮起を誓ったが、決勝進出を果たすものの8位に終わった。


©Matthieu Metivet-FISE

迎えたUCIワールドカップ第2戦フランス大会。シリーズの中でも最も注目度が高い、FISEが生まれた地での開催に、世界中から強豪が集まる中、大池はなんと予選を1位で通過。決勝は、2本走って、得点の高い方が採用されるベストラン方式で行われ、予選1位通過の大池は最終組の最終走者。

序盤から、各選手の得点が伸び悩み、さらには、直前に走った世界王者ハンナ・ロバーツ(アメリカ)が大技フレアをミスして得点を下げる中、大池は、1本目から持ち味を出し高得点を叩き出す。

得意技、高さのあるタックノーハンドをしっかりとメイクし、その後は、今年新たに身につけた技「トボガン」や「テールウィップ」を披露。さらには、世界的にもメイクできる女子選手が少ないバックフリップ(後方宙返り)を成功させ、完璧なランを魅せた。結果、85.4ポイントを叩き出し、1本目を終えた時点で暫定トップにたった。

その後、大池以外のすべての選手が2本目が終えた時点でも得点は塗り替えられず、2本目を走る前に大池の優勝が確定。あふれる涙を堪えながら、ウィニングランを行い観客の声援に応えた。

優勝者インタビューでは「信じられない、本当に幸せ。ありがとうございました。」とライブ配信を視聴する日本のファンにメッセージを送った。


©Matthieu Metivet-FISE

現在、国内では大池と同世代の世界に挑戦する女性BMXフリースタイルライダーがいない。そのため、大池は国内大会では、男子クラスに混ざってコンテストに出場し、しのぎを削っている。昨年の全日本選手権優勝後、女子エリートの表彰台に1人で立った彼女は、「優勝して嬉しいですが、1人なんで。国内に女性ライダーが増えて、一緒に切磋琢磨していきたい」と切なる願いを口にした。

そうした中、今回の結果は、日本のBMXフリースタイル界にとっては、大きな意味を持つことになるに違いない。彼女に対する憧れや、「女性でもできる」という希望。オリンピックが決まり、しっかりとした成績を残す選手が現れる循環が、今後の競技の発展にむけて大きな可能性を引き出すことになる。そしてその可能性を広げるためにも、大池は結果を出し続ける必要がある。

年々、技の難易度があがり、進化を続けていくBMXフリースタイルパーク。2年後の東京五輪にむけて、その進化はさらに加速していくに違いない。そんな中、追われる立場となった大池もさらなる進化が求められることになるだろう。

【BMXフリースタイルパーク UCI W杯第3戦女子結果】
優勝 大池水杜 (日本) 85.40pts.
2位 Nikita Ducarroz (スイス) 83.20pts.
3位 Lara Lessmann (ドイル) 80.40pts.

▷大池水杜 決勝ラン1本目

▷女子決勝ハイライト

text : Akihiro Tsugimatsu

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