福島晋一「バックグラウンド作業」

Posted on: 2016.10.31

先週のジャパンカップでは応援ありがとうございました。今年、いや 監督として初めて応援していただきました。余裕があるときは応えさせていただきましたがあの大観衆の中、よそ見をしながら運転できるほど熟練しておりませんでした。しかし、声援はしっかり届きましたし、嬉しかったです。ありがとうございました。

2周回ごとにゲストを乗せ換えながらの運転。監督という仕事は、同時に多くのことをしながらいけないものです。考えてみれば、自転車ロード競技という種目自体、自転車を操作しながら、考え、排せつして、補給を取り、補給を配り、無線を聞、メーターからも情報を見て、とほかのスポーツよりもバックグラウンド作業が多いものではあります。

そして、自分もNIPPO VINI FANTINIの監督をしながら、ボンシャンスの代表をして、連盟の仕事(少しながら)もやっている傍ら父親をして…

もちろん、それより多くのことを掛け持ちしている人も多く、不倫をしている人が短命に終わるという話も妙にうなずけます。

話が突然それました。

ジャパンカップはダミアーノ一本で!という作戦で皆様にお話しした手前、残り2周でダミアーノが遅れたときは、アチャー!と頭を抱えたくなりました。残る二人、デネグリとフィロージに託したのですがふがいない結果に終わり、レース後は苦虫を噛み潰したような顔をしていたかもしれません。

今回、ダミアーノという素晴らしい選手の監督をさせてもらう機会を与えていただき、結果が出なかったのは残念ですがダミアーノとの距離は近くなりました。

自分もイタリア語で細かい指示を出せないので英語でやっているのですが、ダミアーノにはイタリア語を話していました。ゴール後、ダミアーノが必死に英語で自分に話しかけてきたときに、やはりイタリア語をしっかり勉強しなくてはいけないなと痛感したと同時に、やはり選手と監督というものは信頼関係によってお互い歩み寄れるものであると感じました。

惨敗のレースでしたが、悔やんでいる暇はありません。来週から、ツールドタイフーレイク(中国 UCI2-1、11月5日から12日) に行ってきます。
今年最後のレース。チームを変わるメンバー、残るメンバー、混在したレースですが今年を締めくくるいいレースにしたいと思っております。

AUTHOR PROFILE

福島 晋一 ふくしま しんいち/岡山県出身 1971年生まれ。20歳からロードレースを初め、22歳でオランダに単身自転車武者修行。卒業後、ブリヂストンアンカーに所属し2003年全日本チャンピオンを獲得。2004年ツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝、2010年ツールドおきなわ個人総合優勝。2003年から始めたチーム「ボンシャンス」代表に就任。2013年シーズンを最後に引退。JOCのスポーツ指導者育成制度でフランスのコンチネンタルチーム「ラ・ポム・マルセイユ」の監督として2年間の研修を経て、現在はアジアのロードレース普及を目指しアジアサイクリングアカデミーを主宰している。 アジアサイクリングアカデミー筆者の公式ブログはこちら

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