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栗村修「ステークホルダー」

Posted on: 2016.08.30
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最近、嬉しがって?よく使っている横文字の一つに『ステークホルダー』という言葉があります。

改めて『ステークホルダー』について説明しますと、『利害関係者』をあらわす言葉であり、自転車ロードレースの場合は、一般的に、『レース主催者』、『大会スポンサー』、『自治体』、『地元経済』、『地元住民』、『警察・消防』、『メディア』、『審判』、『レース運営・設営業者』、『チーム』、『チームスポンサー』、『チームスタッフ』、『選手』、『ファン(現地観戦)』、『ファン(現地以外)』、『イベント関係者』、『ボランティアスタッフ』などが挙げられます。

当然ながら、この中で誰が主役で誰が一番偉いなどということを決めることはできず、時に上記ステークホルダー同士が利害関係上向き合ってしまうこともあり、そんな時はとても悲しい気持ちになります。

相手の立場を理解して物事を考えられる人もいれば、完全に自分の立ち位置からしか物事を見れない人も少なからずいます。

一つ言えることは、上記ステークホルダー全てを満足させるイベントを開催することはほぼ不可能であり、もし、それを実現することができたならば、その主催者をある意味で 『スーパー主催者』 と呼んでもいいかもしれません。

この週末は、山口県庁内及び周辺の公道コースに於いて、『第1回JBCF藩庁門タイムトライアルinやまぐち(8/27)』及び『第1回JBCF維新山口クリテリウム(8/28)』が開催されました。

今年の『Jプロツアー』は全21戦のシリーズ戦で競われていますが、自治体がベースとなって開催されているレースの数は年々増え続けています。

これは、サイクルロードレースの認知度や社会性が高まっていることを示しており、国内自転車界競技界にとってはとても素晴らしいことだといえます。

開催にかかる費用の一部をそれぞれの自治体が税金などをつかって用意しているわけですから、当たり前ですが、説明(開催する上での効果など)のつかないイベントであれば、すぐに淘汰の対象となってしまいます。

ですので、『Jプロツアー』側も、単に『レースを開催すると参加者が集まって宿泊や飲食をしますよ』というだけではなくて、レース自体のバリューを高める努力を常にしていく必要はあります(すでに様々な努力が行われていますが…)。

それでも、実際に自治体(特に県や市などの大きな自治体)主導のレースが増えているわけですから、ある意味での自転車ロードレース開催ブームが広がり続けているのは間違いありません。

今回の大会は『サイクル県やまぐち』という、山口県が打ち出した総合型の自転車を利用した地域振興企画の一つであり、限られた予算のなか、多くの県庁職員の皆さんが試行錯誤をしながら創りあげたイベントとなっていました。

ただ、『個人タイムトライアル』と『クリテリウム』という、恐らくチーム関係者からすると若干物足りない(しかもツール・ド・北海道直前なので)レース内容だったかもしれませんが、それでも、『将来的にはUCIレースの開催を目指したい』といった前向きな声が自治体関係者からは聞かれました。

選手たちやチーム関係者の大半からみれば、開催主体がどこであるかにはあまり興味がなく、『どんなコース(安全面も含めて)で、どんな距離で、どんなレース展開が繰り広げられ、そのレースを走ることでパフォーマンスが上がるのか、誰が強くて、誰がどうやって勝った』 といったところが興味の対象となります。

もちろん、観戦者など『会場に人が多いかどうか』は彼らにとっての評価の対象にはなりますが、『そのレースがどの様に開催され』、『誰に必要とされ』、『どの様なお金が使われているのか』などは、知る由もないでしょうし、興味もないのが一般的です(全体がみえていて理解している選手ももちろんいます)。

いつも感じることですが、選手たちが発信する情報というのは、やはり一番影響力があり、目立ち、説得力があります。

しかし、かつての自分もそうであったように、選手やチーム関係者というのは、ある一点からの物凄く限られた角度で物事を見ており、当たり前なのですが、全てを理解した上での発言ができているわけではありません。

もちろん、選手というのは『出演者』なのですから、俯瞰した目などを持っている必要などなく、むしろキレキレな方が『良い出演者』といえるのかもしれません。

ただ、全体にとって重要なステークホルダーであることは間違いなく、特にあるイベントの信頼度や知名度(歴史)、そして人気がまだしっかりと確立されていない時間軸に於いては、やはり彼らの理解と発言はとても重要なものになってくるでしょう。

選手たちが『評価と感謝の言葉』を発信しないイベントというのは、恐らく、本質的にどれだけ素晴らしいことをやっていたとしても、その良さが周囲に伝わることはありません。

こういった積極的な情報共有作業というのは実は非常に大切な要素であるにも関わらず、やはりその難易度とリスクからか敬遠されることが多く、後回し、もしくは放棄されてしまっているのが現状です。

『モノを考えられるひと』、『それを実行できるひと』とともに、『状況を正確に発信しステークホルダーと対話ができるひと』の育成も今後重要になってくるのでしょう。

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