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栗村修「プロフェッショナル」

Posted on: 2016.08.14
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私自身、15歳から自転車競技をはじめ、17歳でフランスへ渡り、低次元ながら選手として一定期間メシを食う時間を過ごし、その後、チーム監督して複数のチームからお給料をいただき、テレビ解説者として20年近くギャラをいただき、現在はレース主催者としての仕事に対して対価をいただきながら人生を送っています(ほかにも自転車関連の仕事をいただいてます…)。

いわゆる、企業や団体などの正規雇用者などには一度もなったことがなく、敢えてカッコよく言えば、プロフェッショナル(違う表現をするなら日雇い労働者)としてずっと生きてきました。

今まで経験した契約の最長期間は一年間であり『自分が担当した仕事の成果が次の仕事に繋っていく』というサイクルを繰り返すことによっていまに至っています。

また、仕事の対価についても自分から大きく主張したことは選手時代から一度もなく、基本的にはクライアント側の意向に合わせる形で一つ一つの案件に真剣に取り組んできました。

この生活が良いのかどうかは別として、仕事に対する自分の姿勢とパフォーマンスが次の仕事と対価に直結しているので、好むと好まざるとにかかわらず常に潜在意識のなかには『崖っぷち感』があります。

『忙しいのが好き』なわけではなく『休みがない』ことを望んでいるわけでもなく、ただひたすら自転車の未来を考え、その中で自分が生きているため、結果的に毎日モガくことを選択してしまいます。

選手時代であればカラダが資本なので『休むことも寝ることも仕事のうち』でしたが、いまは毎日最低限の睡眠をとっていれば死なずに動き続けられるので、どうしても何かをしようとしてしまいます。

『プロフェッショナル』とは、一見カッコよい響きですが、別の見方をすれば、『それしかない』、『全力か死か』という環境に自らを叩き込んでしまった人のことを指しているのかもしれません。(本当のプロフェッショナルはオンとオフを切り替えられるカッコ良い人のことをいうのでしょうが…)

たまに『もう少しスローダウンして』とアドバイスされることがありますが、率直なところ、『中途半端にスローダウンするとその先には連鎖的な終わりが待っている』ことを心のどこかで悟っている自分がいます。

なので、たぶん自分がスローダウンする時というのは、何かをやり遂げた時か、もしくは燃え尽きてしまい、事実上、姿を消す時だと感じています(スローダウンではなく終了)。

昔から人生設計を間違っていたとは常々感じていましたが、今更軌道修正することもできず、一先ず『区切り』が来るまでは走り続けるしかありません…

長々と愚痴っぽいことを書いてしまいましたが、そんな自分からみて、最近、『自転車界全体(競輪は除く)を経営のプロフェッショナルに一度みてもらいたい』という想いがとても強まってきました。

私自身は、『経営』に関してはズブの素人であり、当然ですが、『ハーバード・ビジネス・スクール』や、『マッキンゼー・アンド・カンパニー』のような、世界を動かしているようなエリートとは縁遠い場所でずっと生きていきました。

もちろん、彼らが全てに於いて正しく万能だとは思ってしませんし、物事には必ず良い面と悪い面の二面性があるので、”そうすること”によって、きっと多くの弊害も発生するのだと思います。

しかし、自分の発想と能力だけではいい加減限界を感じる瞬間も少なくなく、もしかすると自分自身が淘汰の対象になるかもしれなくても、『自転車の未来を真剣に考え、そして実行できる枠組み』をまずは整えて欲しいと強く感じます。

『自転車で食ってるんだ』

崖っぷち感満載でそう言い放つ若者が増えれば、きっと未来は大きく変わっていくはずです。リスクと努力と共存しなければ生き残っていけない種類の人間(プロフェッショナル)が自然と集まってくる世界を望みます。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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