「Road to Rio Olympic」BMXレース日本代表コーチ三瓶将廣インタビューPart3

Posted on: 2016.03.28

2008年からオリンピックの正式競技となったBMXレース。ロンドンオリンピック出場枠を獲得できなかった日本代表は、北京オリンピック日本代表の阪本章史選手以来のオリンピアン輩出に向けて世界挑戦が続いている。

悲願のリオ五輪出場に向けた重要なシーズンが開幕した今、日本代表は世界のどの位置にいるのか。また、どのような課題と戦い、強化を進めているのか。ロンドンオリンピック以降、日本代表のコーチに就任した三瓶将廣氏に全3回に亘ってインタビューを行った。

Part3では、次世代の育成の重要性、そして三瓶コーチのオリンピックへの思いについて聞いた。

Q、今後のスケジュールを教えてください

今週末よりワールドカップ第1戦がアルゼンチンにて開幕され、そこから第2戦参戦のためイギリス・マンチェスターへ移動し、終了後一時帰国。帰国の週は、ひたち海浜公園にてUCI C1カテゴリーレースに参戦。その後1週間のオフを挟んで、コロンビアにて2週間の練習、アメリカに移動して世界選手権大会前最終調整を2週間行い、再びコロンビアへ移動し世界選手権大会となります。

3月22日〜3月27日 ワールドカップ第1戦 アルゼンチン
3月28日〜4月11日 ワールドカップ第2戦 イギリス
4月12日〜4月17日 ひたち国際 茨城
4月25日〜5月8日  コロンビア 世界選手権事前練習
5月9日〜5月23日  アメリカ  最終調整
5月24日〜5月29日 世界選手権大会 コロンビア

Q、リオオリンピック出場を目指すエリートライダーの強化と平行してユース・ジュニア選手の育成も行っていますが、次代を担う若手の強化の重要性についてどのように考えていますか?

ユース世代の育成の取り組みを開始して4年目になります。ある程度成長したライダーに1−2年で全てを伝えきることはできず、改めて若年層からスタートさせる重要性を痛感しています。

僕が様々な事を伝えた後、今度は選手が実体験から経験を積み、そして自分のものにするまでに、たくさんの時間がかかります。また、ユース世代のライダーは想い描く夢と、それに向かうための姿勢や行動がスムーズに一致しないことにも気づきました。

その中で、成長を続けている部分もあり、最年少だったメンバーもジュニア世代へと近づいています。12歳から16歳の1サイクルを得て、どういった成長が見られるか、そしてどういった課題が出るか、今から楽しみです。

JCF会長の橋本聖子氏の言う、「人間力なくして 競技力向上なし」。この部分をないがしろにしてしまうと、海外では戦っていけません。まずは人間としての内面も平行して成長させられるよう、世界選手権大会終了後に再構築していく方針でいます。


人間としての成長も強い選手になるための条件(photo:Masahiro Sampei)


エリートだけでなくユース世代の育成も同時並行で進めている(photo:Masahiro Sampei)

Q、ロンドン五輪後、選手として第1線で戦う現役選手でありながらコーチに転身することを決断しましたが、今、悔いはありませんか?また、コーチとして挑むオリンピックに対する思いは?

自分のコーチとしての能力を活かし、目標である五輪出場枠が獲得できるのであれば・・という思いの中でここまで活動してきましたので、選手から転身したことに対して悔いはありません。

自分が選手として競技力を向上させたいという思いより、指導者としてレベルアップしたいという感情が強まったから決断したことなので、毎日を楽しんでいます。そして、この分野でもNo1を目指したいと思い始めています。

オリンピックに関しては、今年リオ五輪で参加枠を獲得することで、4年後の東京五輪での結果に大きく響くと考えています。なので責任感を持ち、最終選考日までの残り2ヶ月間をどうこなすか、そしてそれを達成した時のイメージを毎日思い浮かべながら、100%集中していきたいと思います。

なのでまずはリオ、そして東京につなげるためのデータを可能な限り集めることが、残り数ヶ月でやるべきこととなります。東京はその後に考えます。

■Part1「日本の現在の世界ランキングとオリンピック出場条件に対する日本の戦略
■Part2「世界の強豪国の状況と日本の課題

<三瓶将廣(25歳):現BMXレース日本代表コーチ/(社)SYSTEMATIC BMX代表>
三瓶将廣氏は、少年時代から海外を転戦しプロとして活動。日本、アジアで頂点に立ち、2012年のロンドンオリンピック出場を目指したものの、直前の怪我の影響もあり、出場枠獲得に失敗。その後、競技を続けながらも、国内BMX界の状況を危惧し、自ら指導者になることを決意。海外とのコネクションを多くもち、世界のBMXレース最前線を日本に持ち込み、代表選手や国内の若手ライダーたちを指導・サポートしている。

text edit:Akihiro Tsugimatsu

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