栗村修「島嶼型サイクルツーリズム」

Posted on: 2016.02.10

先月開催された『2016年アジア自転車競技選手権大会』のロードレースの舞台となった伊豆大島(東京都大島町)へ行って参りました。今回は、レース関係の仕事ではなく、もっと広い意味での『サイクルツーリズム』に関するシンポジウムに参加するための訪島でした。

今年、伊豆大島では、1月に『2016年アジア自転車競技選手権大会ロードレース』が開催され、更に6月には日本チャンピオンを決める戦い『第20回全日本選手権個人タイムトライアル』&『日本パラサイクリング選手権ロード大会』が24日(金)に、『第85回全日本自転車競技選手権大会ロードレース』が25日(土)及び26日(日)にそれぞれ開催される予定となっています。

伊豆諸島北部に位置し、人が定住している9つの主な伊豆諸島の島の中では最大の大きさを誇り、更に本州からも最も近い立地(伊豆半島からは約25km)となっている伊豆大島ですが、島の外周道路をぐるっとまわるとその距離は46.6kmと、ロングライドイベントの老舗的存在『佐渡ロングライド210』の舞台となっている『佐渡島(新潟県佐渡市)』の約9分の1の面積となっています。

参考までに主な自転車イベントが開催されている島の大きさを順番に並べてみますと以下のようになります(カッコ内の数字は自転車イベントの距離)。

沖縄島(沖縄県/346km)
佐渡島(新潟県/210km)
奄美大島(鹿児島県/240km)
淡路島(兵庫県/150km)
天草下島(熊本県/150km)
屋久島(鹿児島県/100km)
種子島(鹿児島県/150km)
石垣島(沖縄県/135km)
宮古島(沖縄県/114km)
壱岐(長崎県/50km)
伊豆大島(東京都)
※瀬戸内しまなみ海道=全長約70km(今治市サイクリングターミナル~尾道港)

多くの参加者を集める『ロングライドイベント』を開催している地域(島)は、やはりそれなりの面積を誇っていますね。

一方、外周道路の距離が約45kmの伊豆大島が今回選択した『自転車関連コンテンツ』というのは、ロングライドなどの 『参加型イベント』ではなく、通常1周10~20kmほどの周回コースで競われる『観戦型イベント』のロードレース大会(しかもバリバリの選手権)となりました。

ある意味で、最も敷居が高く、開催難易度も高いであろうレースイベントを最初に開催することはとても大変だったと思います。

しかし、2016年に獲得するであろう『選手権開催地としてのステイタス』を、今後、トップダウン方式で、参加型イベントの企画やサイクリストの誘致などにうまく結びつけていくことができれば『東京からたった25分(飛行機)で南国気分を味わえる』という地理的アドバンテージが追い風となって、新しい『サイクリストの聖地』となっていく可能性は十分にあると感じます。

日本全国で『自転車をつかった街おこし』の流れが継続しています。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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