三瓶将廣「日本人選手に何が決定的に足りないのか」

Posted on: 2015.04.30

昨年10月に開催されたワールドカップ最終戦から半年が経ち、今年もブリティッシュサイクリングのナショナルサイクリングセンターにてBMXスーパークロスワールドカップシリーズが開幕しました。昨年に引き続き三瓶将廣がスタッフ帯同を行なったので、現地での気づきを記録しておきたいと思います。

3年連続で開幕戦誘致となった、イギリス・マンチェスターにあるイギリス自転車競技の強化拠点、ナショナルサイクリングセンター内インドアBMXトラック。

リオ五輪選考まで1年であることと、今年はじめに第3ストレートの一部が変更となり、さらにテクニカルになったため、事前練習にはオランダ、ラトビア、ロシア、ドイツ、フランス、ノルウェイ、オーストラリア、ニュージーランド、コロンビア、アルゼンチン、アメリカなど全大陸から訪れたとの報告があり、各国勢力をあげていることを感じました。

3月には、日本からも4名が1週間のコース練習と、その後の大会へ参加し事前練習を行なっていました。そして、今大会には日本から男子は松下巽選手、女子は瀬古遥加選手、朝比奈綾香選手の計3名が参戦。

結果から言うと、各国ベストメンバーが揃い、オリンピックポイントを狙っての過激なバトルが展開される中、日本チームは3ヒート合計で争われる予選を通過できず、最終日の決勝トーナメントへ進むことはできませんでした。


松下巽(#38 右)ビデオ撮影中の三瓶(右から2番目)Photo : Craig Dutton

女子は目に見える進展はあったものの、多くある課題のいくつかをクリアしただけで、ゴールに向けて更なる進化が求められます。


瀬古遥加選手 Photo : Craig Dutton

◆フリースタイルのようなバイクコントロールが必要?

では、日本人選手に何が決定的に足りないのか。

たくさんある課題の中でも、トラックによって展開が変わるBMXレースにおいて、やっぱりバイクコントロールの技術が足りてないと感じました。

今回の会場は30秒前後で争われるショートトラックであり、セクションは飛び面、バックサイドともに急で、コース幅が狭くてセクションの難易度も高いため、失敗も多く、上下左右に選手が散らばりまくっている状況が多く見られました。選手はパワーアップしてスピードがあがっているので、さらに機敏な動きが要求されています。


Photo : Craig Dutton

イメージとしては、映画の1シーンで見る、街なかの車や人混みを駆け抜けるような感じ。前方で失敗した選手を抜くために、頻繁に進行方向を変えて、通常のBMXレースにも増してあっちこっちに行っていた。

それをみて、フリースタイルのように自由自在に行き先を変えて走り、なおかつ急な角度の面にあわせることのできるスキルが必要不可欠になってるのではと感じました。

なのでみなさん、スケートパークまたジャンプトレイルに通いましょう!BMXレーストラックが簡単に感じるはずです。次回ワールドカップ第2戦は3週間後の5月8-10日。先日海外遠征でも行ったオランダ・パペンダルにて開催されます。

今シーズンも海外レース帯同が増えていきますが、応援よろしくお願いします!


Photo : Craig Dutton

AUTHOR PROFILE

三瓶 将廣 さんぺい まさひろ/川崎市出身。プロBMXライダーであり、一般社団法人SYSTEMATIC BMXの代表を務める。5歳からBMXレースを始め、中学校入学と同時に拠点を海外へ移し、これまで17年間18カ国にて、レースに取り組んできたライダーである。全日本選手権3連覇、2011年アジア選手権優勝。日本を代表するプロライダーの一人。現在、ライダー業の傍ら、BMX/自転車普及活動を目的に、一般社団法人SYSTEMATIC BMXの代表としても活動している。 筆者の運営する公式サイトはこちら

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