佐藤一朗「スタビリティーの真価が問われる全日本選手権」

Posted on: 2015.04.12

4月11日・12日の2日間、伊豆ベロドロームにおいて全日本選手権が行われています。(現在12日朝) この大会は来年度に控えたリオ・オリンピックに向けて、強化指定選手を決める大事な大会でもあり各種目にかける選手の意気込みは素晴らしいものがあります。特に国際的にもレベルの高い男子短距離のレースは観ている関係者でも思わず息を飲むほどです。


 
そんな大会に”観客”として来れればさぞ楽しいのでしょうが、カメラ片手に撮影するのはいつもの様にポジショニング解析の為のカットばかり。もちろん新聞社に送る画像をはじめ様々な媒体での画像使用も考えなくてはならないのでそれなりのカットも撮影しますが、傍で見ている人からすれば”不思議なカメラワーク”をしているように見えると思います。
 
選手は日頃どれだけ一生懸命にトレーニングをしていたとしても100%の力を出し切っていることはなかなかありません。しかしレース、それも大きなレースになればなるほど緊張感や高揚感も影響して普段ではあり得ないような力を出すことがあります。

そしてそれは良い事ばかりではありません。日頃どれだけ意識してポジショニングを行っていても、レースではそれを意識して走り続ける事を不可能です。つまりレースで見せる選手の走りやポジショニングがその選手の今持っている力を測る機会としては最適なのです。
 
日頃のトレーニングで行う事は、パワーを上げること、持久力を高めることはもちろんですが、全力で走ったときにも崩れることのないポジショニングをしっかり身につける事、つまり筋バランスを最適化することが大切な要因の1つになってきます。
 
全日本選手権のようにプロ・アマ問わず様々なカテゴリーの選手が集う大会になると、走る走力だけではなく、走る為の筋肉を正確に働かせる力「スタビリティー」の違いがハッキリ見比べることが出来ます。

日本のトップ選手が集う大会で、際だって完成度の高いパフォーマンスを発揮していた渡邊一成選手(JPCU福島)の走りには思わず興奮させられてしまいました。


 
<ケイリン決勝映像>
全日本トラック初日 渡邉一成がケイリンで3連覇達成

AUTHOR PROFILE

佐藤一朗 さとう・いちろう/自転車競技のトレーニング指導・コンディショニングを行うTrainer’s House代表。運動生理学・バイオメカニクスをベースにしたトレーニング理論の構築を行うと同時にトレーニングの標準化を目指す。これまでの研究の成果を基に日本代表ジュニアトラックチームを始め数々の高校・大学チームでの指導経験を持ち、現在はトレーニング理論の普及にも力を注いでいる。中央大学卒/日本競輪学校63期/元日本代表ジュニアトラックヘッドコーチ                                       ▶筆者の運営するトレーニング情報発信ブログ    ▶筆者の運営するオンラインセミナーの情報

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