三瓶将廣「最大の目的は体験!ロンドン五輪レプリカでの練習」

Posted on: 2015.04.02

日本の皆さんこんにちは、三瓶将廣です!ベルギーにきて5日ほど経過しました。今日は3月30日に訪れたオランダ オリンピックナショナルトレーニングセンターの様子をお伝えしたいと思います!

◆オランダチームの拠点、パペンダル

オランダのアーンヘムという町に、パペンダルと呼ばれるオランダオリンピックトレーニングセンターがあります。広大な森林の中に、様々な競技向けの練習施設が用意され、トップアスリートたちが日々訓練を積んでいます。


日本で言うところの国立科学スポーツセンターJISSや、味の素ナショナルトレーニングセンターと同じ施設です。
ここパペンダルでは、2008年北京オリンピック前にSXコースの第1ストレートのみではありましたが陸上競技場横に建設され、国をあげて選手の強化が始まりました。

2008年、パペンダルにBMX練習環境ができた際のニュース動画
 
その後ロンドンオリンピック1年前の2011年、ロンドンオリンピックレプリカトラックが常設コースとして建設されました。


男子セクションは第1ストレートにバーム超え。第2ストレートにヒップクロスオーバー、そしてコンテナBOXジャンプなど未知の世界のものが山盛り詰め込まれていました。

完成直後にワールドカップが行われ、もちろんロンドンオリンピックに向けて僕自身も参加しました。
今だから言える話ですが、コースを下見した日は過去最高レベルの恐怖心に襲われ、初めて走りたくないなと思うほどのコースでした。そして、レースも練習走行で疲れ果て、ギリギリゴールまで辿り着くというレベルでした。

2011年ワールドカップ パペンダル大会 三瓶将廣タイムトライアル映像
 
それからも毎年ワールドカップシリーズには組み込まれ、今年の5月に行われるワールドカップ第2戦で5大会目をむかえます。オランダチームとしてはロンドンオリンピックで、男子2名が決勝進出、女子は銅メダルを獲得し素晴らしい成果をあげています。

◆世界最大規模のSXコース、パペンダルにて練習

そんなパペンダルですが、今回ベルギーでヨーロピアンカップの大会会場から約2時間ほどということで、早速遠征プランへの追加を検討しました。そして、元MTBやBMXチャンピオンで、現在オランダナショナルコーチのバスデビーバーへ連絡し、コース利用の交渉をスタートさせました。
結果、特別にユース年齢(13-16)のメンバーの走行許可もいただき、1日コースを貸しきっての練習が実現しました。


初めてのフルサイズSXタイプコース

今回唯一のジュニアエリートである山口大地をはじめ、その他6名のユースメンバーもフルサイズのSXコースは初体験でした。

コース自体は、世界選手権大会などで見ているものの、実際に走るとなるとまた違い、目を輝かせている選手もいれば、少し不安な表情の選手も見受けられました。実際、走りでも、積極的に行ける選手とそうでない選手がいましたが、とにかく今回の目的は体験すること。


2年前から国内唯一のSXスタートヒル練習場「YBP」があるため、SX8mスタートヒル自体は恐怖心なく下ることできました。僕自身はじめて参加したSXワールドカップでは、この8mヒルに登ってるだけでも怖くて震えていて、手汗が吹き出し練習中に初めてグローブを交換したほどでした。しかし、今の選手はYBPで経験を積んでいるので、笑顔でスタートヒルに登り、練習に集中しています。

しかし、その他のセクションに関しては、目標を失いつつある選手が多いと感じています。そこで実際にワールドカップで使われているコースを走り、自分がどのレベルまであげていかないとけないかを、実体験から感じ取ってもらう事が今回の最大の目的でした。


この年齢からSX8mスタートヒル、SXタイプコースを体験していくことで、実際に走る年齢となった時には、何事もなかったように移り変わっていけることが理想であると、今回の練習を見ていて改めて感じました。



◆オリンピックトレーニングセンター内視察

今回事前準備の段階から手伝ってくれた2011年ジュニア女子世界チャンピオンのMerle van Benthemの提案で、昨年のジュニア男子世界チャンピオンのNiek Kimmanと2人で、練習後にパペンダル施設内をガイド・ツアーしてくる事になり、選手にとってさらに良い経験ができました。

各競技別のトレーニングルームをはじめ、アスリートが利用するカフェテリアや、Niek Kimmanの住む部屋まで紹介してくれ、パペンダルトリップを最高の形で締めくくることができました。

昔からハイレベルな場所やレースを体験するだけで、何かが吹っ切れ、成績が上がる選手が多くいます。今回のチャンスが、次のステップへ繋げるためのキッカケになると嬉しいです。

ケガもなく無事に練習が終わり、いよいよ明日から本番の会場での練習がはじまっていきます。

AUTHOR PROFILE

三瓶 将廣 さんぺい まさひろ/川崎市出身。プロBMXライダーであり、一般社団法人SYSTEMATIC BMXの代表を務める。5歳からBMXレースを始め、中学校入学と同時に拠点を海外へ移し、これまで17年間18カ国にて、レースに取り組んできたライダーである。全日本選手権3連覇、2011年アジア選手権優勝。日本を代表するプロライダーの一人。現在、ライダー業の傍ら、BMX/自転車普及活動を目的に、一般社団法人SYSTEMATIC BMXの代表としても活動している。 筆者の運営する公式サイトはこちら

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