ダウンヒルシリーズ最終戦は井本はじめが制す!清水一輝が初代総合王者

Posted on: 2014.12.29

12月13日、今年新たに始まったMTBダウンヒル競技のシリーズ戦「DOWNHILL SERIES」が、熊本の吉無田高原DHコースで最終戦を行われ、井本はじめが優勝しシリーズ2勝目をマーク。また、2位にはいった清水一輝がシリーズ総合優勝に輝いた。


最終戦を制した井本はじめ(Lovebikes)。全戦に参戦し総合2位を獲得した。

最終戦の会場となった熊本県、吉無田高原・緑の村は、阿蘇の外輪山の南西の外れにあり、DHコースは一面にカヤや笹が生え広がる草原のなかに設定された。スタートからゴールまで一度も森林に入らないという光景は、コー スを走っていると雄大な阿蘇の景色に飛び込んでいくような気持ちになる。


舞台は木の生えていない草原で、日本とは思えないような景色だった

火山灰が降り積もったその大地は真っ黒で、表面の土は滑りやすいが、Gをかければしっかりとグリップする。タイヤ選びや走り方など、ローカルライダーの間で蓄積されたノウハウを聞いていると面白い。

そして、今回のレースでは各クラスの年間優勝も決まるため、選手達のあいだでも一層の気合いが入っていた。

日本列島に寒波が流れ込み、小雪が舞った土曜日。風も強く、体感温度も低い。フィニッシュエリアを取り囲むように並んだメーカーブースには、試乗車がずらりと並んだ。

試走でクラッシュした人がメーカーブースに整備をお願いする姿や、オフィシャルメカニックを勤めてくれているMAVICブースでは、試走ごとにホイールを交換する“試乗を満喫”している女性ライダーの姿も見られた。

午後に行われたタイムドセッションでは、清水一輝(MADISON SARACEN)が44秒607のタイムで1位。2位には0.151秒差で井本はじめ(LoveBikes)が続き、3位には福岡のライダー・木村宏一(Nustyle 海月)が入った。


草原を刈り取った路面の吉無田ではマッドタイヤがデフォルトとなっていた

迎えた本戦の朝、氷点下に冷え込んだ会場では、夜の間に薄らと白く積もった雪化粧が参加者を出迎えた。青空が広がっているが、凍ったコースは少しずつ溶け、ぬかるみ、刻々とコンディションを変えていく。

完全には乾かないまま迎えた本戦。メイン会場からコースの後半がすべて見渡せる会場の特性のためか、ゴールエリアをたくさんの観客・ライダーが取り囲んだ。


決勝。選手達は見守る人達の 前を力強く駆け抜けた

長年Jシリーズを転戦する本村貴之(delsol/cleat/とくさがみね)や、今年のJシリーズ最終戦で、プロライダーたちを押さえて初優勝を果たした浦上太郎 (Transition/Cleat)らの九州勢が大本命。

前日のタイムドセッションを走らなかった本村と浦上が早い段階で出走すると、本村がタイムドセッションのタイムだと3位に相当する45秒 604を出す。すぐに浦上が43秒661というタイムをたたき出し、ダウンヒルシリーズの醍醐味でもある「ローカルヒーローの活躍」に会場が沸く。


九州出身の浦上太郎(Transition/Cleat)。今年はJシリーズ最終戦で初優勝を遂げた

ローカルの強みか、トップライダーの意地か。タイムドセッション2位の井本がゴールし、43秒010という浦上を超えるタイムが表示されると、賞賛の拍手がわき起こった。


井本はじめ決勝のラン

そして最終走者、清水一輝の走りを全員が待つ事になった。清水のタイムは43秒411、わずか0.401秒差で井本のシリーズ2勝目が決まった。レース後、井本は、「タイムドセッションではコンマ差で負けてたので、決勝の朝にサスのセッティングを変えました。それがばっちりハマりましたね。」と語った。

またダウンシリーズについて「今までにないレースでしたね。色んな会場に行って、色んな人と知り合って、レース以外でも、地方のライディングシーンも見れたりして。楽しかったです。地元の人がもてなしてくれる宴会もおもしろかったです」と話した。


エリート男子表彰式

今回は小学生のエントリーが7人。ファーストタイマークラスでは4位と5位に小学生ライダーが入った。大会には子ども達への特別な配慮はないが、大人と一緒に走りたい!という熱意に対してはその門を開いている。幼い頃から大人と共に走り、トップライダーと同じコースを走ることができるのは、彼らの将来に良い影響を及ぼすと信じているからだ。


ファーストタイマー男子表彰式

最終戦の舞台となった吉無田高原でも、yansこと柳原氏の手によって造られたスキルパークを毎週末ローカルライダーが整備し、子どもたちを指導する。こうして、ローカルライダーが育ち始めている吉無田高原も九州の大きな拠点のひとつになりつつある。

7月に始まった「DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM」もこれで最終戦を終えた。西日本の6会場を回り、計603人(エントリー総数)のライダーが参加した。

熱い戦い、新しい出会い、そして旅。各地方で頑張っている6会場それぞれの個性を感じることができたシリーズ戦になった。また来年、たくさんの人に出会えることを楽しみにしている。

【年間優勝】
エリート男子:清水一輝
エリート女子:末政実緒
チャレンジ男子:藤村飛丸
チャレンジ女子:川述沙織
ファーストタイマー男子:郷丸勝範
ファーストタイマー女子:三宅理子

※全 6 戦のうち、上位 4 戦分のポイント合算にて算出

Text:DOWNHILL SERIES
Photo: ©DOWNHILL SERIES / Hiroyuki Nakagawa

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