NIPPOが放つ3本の矢!山本や黒枝ら若き日本人レーサーの世界挑戦をバックアップ

Posted on: 2014.11.22

株式会社NIPPOが、2015年のレース活動体制を発表した。来季は、イタリア籍の新プロコンチネンタルチーム「NIPPO・ヴィーニファンティーニ・デローザ」をはじめ、ベルギーに新しく誕生するコンチネンタルチーム「チャンピオンシステム」、そして日本ナショナルチーム(日本自転車競技連盟)へのスポンサードを行い、その3方向から世界で戦える日本人選手の育成をバックアップしていく。また、日本国内で開催されるUCIレースへのスポンサードも継続する予定だ。

ー■NIPPO・ヴィーニファンティーニ・デローザ(UCIプロコンチネンタルチーム、イタリア籍)

今回、イタリア籍のプロコンチネンタルチームとして活動する「NIPPO・ヴィーニファンティーニ・デローザ」に所属する15名の選手が確定した。

日本人選手はエリートカテゴリー1年目の黒枝士揮と石橋学、そして2年目の山本元喜の若手3名が所属し、プロコンチネンタルのメンバーとして、ヨーロッパを拠点にUCIワールドツアー(ワイルドカード枠での出場)を含む世界のトップレースで戦う。

また、チームのキャプテンはダミアーノ・クネゴ。チームの軸となるのは、2014年「ツアー・オブ・ジャパン」南信州ステージ で勝ったピエールパオロ・デネグリや、新規契約のマッティア・ポッツォやダニエーレ・コッリといった中堅選手、そして今季5勝を挙げたエドワード・グロスら若手スプリンターにも期待がかかる。

【日本人選手】

◆山本元喜(1991年生まれ)
積極的で攻撃的な走りを強みに、現在もっとも注目されている日本人若手選手の1人。2014年は、鹿屋体育大学で教職課程を受講しながらプロ年目1を経験し、過密なスケジュールの中、6月の全日本選手権では個人タイムトライアル、ロードレースともに3位入賞。エリートカテゴリー1年目ながら好成績を残し、今後のさらなる活躍が期待される。またシーズン終盤の「ジャパンカップサイクルロードレース」でもアグレッシブな走りで山岳賞を獲得した。

山本コメント
「世界に挑戦できるチームに入ることができて嬉しい。世界のトップクラスのレースを走ることで経験を積むだけでなく、挑戦して成長し続けたい」


2014年全日本選手権で先頭を走る山本元喜

◆黒枝士揮(1992年生まれ)
鹿屋体育在学中に「ツール・ド・北海道」で通算ステージ2勝を挙げた若手スプリンター。2014年は、7月に開催されたアジア最高峰のステージレース「ツアー・オブ・チンハイレイク」で上位入賞し、UCIポイントを獲得。またU23日本ナショナルチームの遠征にも多く参加し、フランスのアマチュアレースで優勝するなど活躍した。2015年、チームには多くの若手スプリンターが所属するが、その中で存在感ある走りをめざす。

黒枝コメント
「今年からプロコンチネンタルチームになり、ヨーロッパでは1クラス以上のレースだけを戦うことになるが、そこでもスプリントで勝負できるように頑張りたい」


ツアー・オブ・チンハイレイク第9ステージで7位に入った黒枝士揮

◆石橋学(1992年生まれ)
全日本選手権U23個人タイムトライアルの現チャンピオン。2014年もチームの前身となる「ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ」に所属し、ナショナルチームの遠征や大学の休暇も活用しながらヨーロッパや世界各地のレースに出場した。「ツアー・オブ・チンハイレイク」では、集団の牽引や逃げに乗るなどのチームのオーダーに応えて、勝利に繋がることも多く、チームからの高い信頼を得た。エリートカテゴリー1年目となる2015年は、3月に大学を卒業して本格的に渡欧。プロ選手としての大きな一歩を踏み出す。

石橋コメント
「プロコンチネンタルチームになったことで、たくさんのレースに参加できると思っている。今までよりハードになると同時にチャンスも増えるので、自分の走りをアピールして欧州で認められる選手を目指していきたい。今年でチームに所属して3年目、カテゴリーもエリートに上がるので、もう若い選手ではないということを肝に銘じて走っていきたい」


2014年全日本選手権U23個人TTで優勝し、全日本チャンピオンに輝いた石橋学

【新規契約選手】
◆ダミアーノ・クネゴ(1981年生まれ、イタリア)※ランプレ・メリダより移籍
チームキャプテン。2004年「ジロ・デ・イタリア」総合優勝、2005年と2008年「ジャパンカップサイクルロードレース」優勝。

◆マッティア・ポッツォ(1989年生まれ、イタリア)※ネーリソットーリより移籍
2013年「ツール・ド・熊野」のプロローグと第3ステージで優勝したスプリンター。


2013年ツール・ド・熊野でステージ2勝、ポイント賞を獲得したマッティア・ポッツォ(中央)

◆ダニエーレ・コッリ(1982年生まれ、イタリア)※ネーリソットーリより移籍
2005年にリクイガスでプロデビューしたスプリンター。2009年「ツアー・オブ・ジャパン」東京ステージで2位、今季は「ジロ・デ・イタリア」に出場した。2009年には膝の腫瘍を患い、闘病のすえに競技に復帰したエピソードも有名。


長年トップカテゴリーのレースで活躍を続けるダニエーレ・コッリ(右)

◆ルリ・フィロージ(1992年生まれ、イタリア))※ネオプロ
今季、イタリアナショナルチームのメンバーとして参加したU23ヨーロッパ選手権で2位、世界選手権で7位に入賞したスプリンター。


U23ヨーロッパ選手権で2位に入ったルリ・フィロージ(左)

◆ニコラス・マリー二(1993年生まれ、イタリア)※ネオプロ
2013年は8勝、2014年は7勝を挙げたスプリンター。チーム最年少となるU23カテゴリー選手。


イタリアの名門アマチュアチーム「ザルフ」で活躍したニコラス・マリーニ

◆ジャコーモ・ベルラート(1992年生まれ、イタリア)※ネオプロ
エリートカテゴリー1年目のクライマー。


スプリンター中心のチームにおいてキーとなる若いクライマー

◆アントニオ・ニーバリ(1992年生まれ、イタリア)※ネオプロ
イタリア南部のシチリア島出身で、世界的トップ選手であるヴィンチェンツォ・ニーバリの弟。


2014年ツール・ド・フランスで総合優勝した兄のヴィンチェンツォとともに。

「ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ」より継続選手
◆ピエールパオロ・デネグリ(1986年生まれ、イタリア)
◆アレッサンドロ・マラグーティ(1987年生まれ、イタリア)
◆リカルド・スタキッオッティ(1990年生まれ、イタリア)
◆アントニオ・ヴィオラ(1991年生まれ、イタリア)
◆エドワード・グロス(1992年生まれ、ルーマニア)

ー■チームチャンピオンシステム(UCIコンチネンタルチーム、ニュージーランド籍)

チームチャンピオンシステムは、ベルギーを拠点に活動する新しいUCIコンチネンタルチームで、「NIPPO・ヴィーニファンティーニ・デローザ」のサテライトチームの位置付けとなる。

チームマネージャーは2013年「チャンピオンシステム(プロコンチネンタルチーム、香港籍)」の監督を務めたベルギー人のフランキー・バンハーズブルック氏。チーム監督はベルギーで日本人選手の若手育成に熱心に取り組んでいる橋川健が務める。

メインスポンサーは香港のウェアメーカー「チャンピオンシステム」。第2スポンサーにスウェーデンの鉄鋼メーカー「ノルダシアー」、株式会社NIPPOもヴィーニファンティーニとのスポンサード提携の一環としてチームの活動を支える。アンダー23のメンバーを含む日本人3選手が所属する予定で、その他、様々な国の選手が所属。ワールドワイドに活動し年間60〜80レースに出場する予定だ。

◆所属選手の国籍
ニュージランド 4名
日本 3名
ベルギー 1名
リトアニア 1名
デンマーク 1名
イギリス 1名
ドイツ 1名
アメリカ 1名

ー■日本ナショナルチーム(日本自転車競技連盟)

NIPPOは、上記2チームのサポートに加えて、2020年の東京オリンピックに向けて、日本ナショナルチームもサポートする。長年に亘り様々なスタイルでサポートしてきた同社は、2014年からオフィシャルスポンサーとして参加することとなった。来季も引き続き、ロード競技とトラック競技ともに幅広くサポートしていく予定だ。

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・デローザ監督大門宏のコメント
「監督やスタッフを含むチーム体制の全容や年間の具体的なレーススケジュールは12月のトレーニングキャンプ以降のチームリリースで改めて紹介したい。また来季NIPPOがサポートする6名の日本人選手のうち、橋川健が監督を務めるベルギーを拠点とする新チーム『チャンピオンシステム』についての所属選手等の詳細は来週予定されているチームからの発表を待ちたい。

今回のカテゴリーアップ(コンチネンタル→プロコンチネンタル)に最も期待していることは、世界中の大会主催者からより確実に良い条件で招待が見込まれること。所属する3名の日本人も現在、ワールドツアーを走っている新城や別府と同じカテゴリーで走る権利を得ることになるが、出場することになればより一層、世界の壁の厚さと高さを思い知ることになるだろう。

ただ、そのことは新しくチームメイトになるネオプロのイタリア人にとっても同じことが言える。あからさまに比べることはできないが、日本の約1000倍以上もの競争を勝ち抜いてプロになった彼らヨーロッパ人にとっても、2年後再び契約が取れるのは数パーセントの世界。野球等の日本のメジャースポーツ同様にジュニアからエリート街道を突き進んで来ても9割以上は生き残れない、厳しい逃げ場のない土俵と向き合うことになる。新たなスターの登場を待ち望んでる日本のレースファンの方々にも、そういった選手が立たされている厳しい現状を少しでも分かち合っていただき、辛抱強く見守ってほしいと思っている。

彼らが確実に成長するためには西ヨーロッパのレースも確かに大事だが、近年活性化している東ヨーロッパ諸国やアジアの1クラス等でも実戦を重ねてステップアップしていくことが、将来に向けての手ごたえ、足掛かりを摑む鍵となるだろう。近年トップクラスで活躍している西ヨーロッパの選手の中にも、そういった国々を転戦しながら実績を積みメジ ャーの仲間入りを果たした選手は少なくない。

レースに参加する機会が増えることで今年以上にチームはAグループ、Bグループと分けた編成で戦っていくことになるが、若い日本人選手については、どちらかと言えばワールドツアーやHCクラスを戦うグループよりも、おもに1クラスをメインに少しでも多く転戦させたいと考えている。

メンバーの構成を見るとスプリンターが8名と際立って多いが、若手とベテランのフォーメーションが上手く噛み合えば、スプリントを得意とする黒枝にとっても良い活躍の場が開かれると思っている。今季、ミッドフィルダー、ボランチ的な動きで存在感を発揮した石橋や山本も年齢的にも最も成長する時期。黒枝同様この世界から少しでも多くのことを学びながら、ステップアップしてくれることを期待している」

「NIPPO・ヴィーニファンティーニ・デローザ」は、11月20日より2日間の日程でイタリア人メンバーによるチームミーティングを行うが、今回は短期間ということもあり、日本人メンバーは12月10日から20日に行われるチームキャンプから合流する予定だ。そのキャンプから本格的な2015シーズンの活動が始まり、1月10日にはファルネーゼヴィーニ社(ヴィーニファンティーニの発売元)のあるイタリアのアブルッツォ州オルトーナでチームプレゼンテーションを行い、初戦は、1月20日から26日まで、南米アルゼンチンで開催され「ツール・ド・サンルイス(UCI2.1)」になる。

また「チームチャンピオンシステム」の初戦は3月2日にベルギーで開催されるクラシックレース「クールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.1)」となる予定だ。

(写真・情報提供:株式会社NIPPO】

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