栗村修「TOJの予算はさいたまクリテの1/3!?求められる新たな価値の創出」

Posted on: 2014.11.20


『ツアー・オブ・ジャパン』に関する業務は年間を通して発生しています。

現在『TOJ』は、
・UCI-1クラス
・8日間6ステージ
・参加16チーム
・総観客数27万人
・海外に比べて一般公道使用が容易ではない日本国内での開催

といった規模及び内容で開催されています。1日で20万人以上を集客した『さいたまクリテリウム』に比べると、実は『TOJ』の予算規模は8日間合計で『さいたまクリテリウム』の3分の1ほどという現実があります。2日間開催の『ジャパンカップ』と比べても、8日間開催の『TOJ』の総予算は同等レベルとなっています。

『さいたまクリテリウム』の予算で『TOJ』が年間3回開催できると考えるべきか、はたまた『TOJ』が現在の予算の10倍を集めて『さいたまクリテリウム』と同等の賑わいを獲得する方向を目指すべきか、判断は難しいところではあります。

ちなみに、集客に大きな影響を及ぼす出場チーム及び選手招聘に関しては、『TOJ』が開催されている5月にトップチームを大量に呼ぶのは、例え資金があっても他のビッグレースとの関係でほぼ不可能な状況ではあります。

『TOJ』をワールドツアーに昇格させて、開催時期を動かせれば可能性はでてきますが…『TOJ』の現在の魅力の一つは、比較的低予算で1つのステージが開催できることにあります。『さいたまクリテリウム』と比べると、約20分の1ほど予算で1ステージが開催されています。

今後はこれらの良さを残しながらも、大会全体の賑わいを向上させる努力を進めていき、この10年縮小を続けてきた全体予算を反転させて、新たな価値を創り出していかなければなりません。

簡単ではありませんが、粘り強く、ひとつづつ、努力を積み上げていきたいと思います。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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