宮澤崇史「自転車選び」

Posted on: 2014.08.15
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自分の自転車を購入するとしたらどう選ぶだろう。

そんなことをフッと思った。

というのも、先日なんと19年ぶりに自転車を購入したからだ。私は高校を卒業し、実業団チームへ。そしてイタリアのチームとチームから自転車を供給して頂き、自身で購入するという事がなかった。そして、スポンサーの自転車は与えられるものであって、選ぶ物ではなかったから自転車を選ぶという事を忘れていた。

今回はプライベートで乗る自転車なので、スポンサーとかそう言った事は置いといて本当に乗りたい自転車、出来ればレースやトレーニングにも使えるレベルの自転車を選んだ。

自分自身でお金を払うとなると、なかなか選ぶ事は難しい。というのも、20万円を越える様な自転車はどう考えても買えないから・・・・・といって、私が乗っている自転車はゆうに200万円を越えているこの現実とのギャップ・・・。

車を買うときも半年ほどあ~でもない、こ~でもないと悩んだ事を思い出す。初めに何をしたらいいのだろう?完成車?フレーム?メーカー?予算?ホイール?カーボン?アルミ?鉄?タイプ?色々な事を考えるが、やはり予算を決めなければ中々前には進みにくい。

ハンドル、コンポ、ホイール、サドル、シートピラーが元々手元にあったので、(無かったら中古で友人に聞いていただろう)今回はフレームとその他小物の購入となった。

フレームといっても昨今の自転車ブームのせいか星の数ほどメーカーがあり、何を選んだらいいやら。さて、ここで私が自転車に大して一番求めている事は何か!を考えた。

1)ダンシング時のフリの軽さ、横にも縦(前)にも振れるジオメトリー、フレーム強度。決してフレームが踏んだ力に対して”我慢”する様な強度が無い事。
2)低速シッティングでもアタックをするダンシングでもペダルを踏んだ時にしっかりとシナリ、反発がスムーズである事。
3)高速で走る中でも踏み応えと伸びがあり、スプリントもこなせる強度を持っている事。

まぁ、この辺りだろう。それほど多くのフレームに乗ってきたわけではないし、レース会場で他のチームの選手の自転車に軽く乗ったくらいしか知識はないのだが、なかなか上の条件に当てはまるフレームはなかった。

軽さを求めるあまりなのか、フレームの形状がだいぶ変わってきている。昨今、スポーツ機材は技術を磨けば使いやすくなるというよりは、弱いとこ助ける方に向かってる傾向がある。それによって結果(成績)が良くなっていればそれはそれで正解だとおもう。切れる包丁を使う事で料理が上手くなった気になって、実際味が美味しくなったか?という感じだろうか。

私は自転車の軽さはたいして求めない。というのも軽いといっても完成車で1~2kg変わるくらい、自転車を持ったりパッと乗った時には大きな差に感じるけど、ちゃんとしたフォームで身体の動きを意識して走るとそんな軽さよりも自転車の乗り心地の方が大きな影響を与えるからだ。

ペダリングやフォームをしっかりとさせるだけで重量はたいして影響を与えない、それよりフレーム特性による乗り心地の方が大事なのだ。そして行き着いた所は、ハンドメイド。これならこちらの意図を話す事によって、ビルダーが持つノウハウをいかして作ってくれるからだ。

新しいというのは善し悪しがある。過去の経験を元によりよい物を作っている事も確かだが、流行、見た目がカッコイイ、デザイン性、飽きない斬新さという余計な物もくっついてくる。私が求めているのは中身だから。

例えば映画で言うと、グラフィックやCG、爆発や最新の車といった一見「すご~い!」と迫力で思わせ、一番大事な中身(ストーリー性)が伴わなければ全く意味がない。逆に見た目がそこそこでも、フレームの特性が私の狙いに応えてくれるとフレームとの会話(走りながら)がたまらなくエクスタシーなのだ。

今回私が選んだ自転車は一見旧車っぽい自転車なのだが、中身は中々造り手の熱意が伝わってくる1台となった。

久しぶりに自分が選んだ新車に乗る気分は、なんだか高校生の頃の懐かしいワクワク感があった。あまり参考になる書き方でなかったらごめんなさいね。手作りの1台ってのも有りかな。やっぱアーティストが作るものってそこに走りての狙いを見てる、ってのが素晴らしいと思う。

ハンドメイド、是非1度はどうでしょ。

AUTHOR PROFILE

宮澤 崇史 みやざわ たかし/1978年生まれ。イタリア在住自転車プロロードレーサー。高校生でシクロクロス世界選手権に出場、卒業後イタリアのチームに所属。しかし2001年、母に肝臓の一部を生体移植で提供し手術のハンディもあり戦力外通告を受ける。再びアマチュア選手としてフランスで活動し実績を重ね 2007年アジアチャンピオン、2008年北京オリンピック出場、2010年全日本チャンピオンになる。2012・2013年はカテゴリの最も高いUCIプロチームに所属。2014年のジャパンカップで現役を引退。 筆者の公式ブログはこちら

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