福島晋一「土地がやせる氾濫」

Posted on: 2014.07.13

今の世の中は情報が氾濫している。そして、自分も中毒のようにスマートフォンから次々と流れてくる情報を見ているが、ほとんどが自分にはあまり関係のない情報だったりする。

こういう世の中だから、情報を整理して必要な事だけ知る方法を見つける必要があるが、情報を流す側としては、中毒者をどんどん増やしたい訳で、やり口は複雑かつ巧妙化している。

とはいえ、自転車のロードレースに関わるものとしてはその利益をかなり享受している。

むかし、日本にいてはほとんど欧州のの自転車ロードレースが見れなかった94年。オランダに半年間、自転車留学した自分はある人に頼まれて、クラシックレースをビデオテープに録画して日本に送るバイトをしていた。

日本で何人の人の目に入ったか分からないが、それくらい情報が伝わるのが遅かったのだ。だからと言って、当時が豊かでなかったかと言えばそうではない訳で、だれも不便も感じていなかったし、ローカルなレースでも観客は多く盛り上がっていた。

最近はツールドフランスこそ盛り上がっているが、ローカルな大会は寂しいものである。実際、会場に見に行くよりもテレビの前にいた方がよく見れるのである。

情報の氾濫は人々の想像力を奪い興味を半減させる。

昔は情報を得る為に高い山を登らなくては得られなかった。今は山頂にヘリでいける。そして、興味は山頂にばかり集まり、裾野に気にかける人がへる。

裾野あっての山頂である。

AUTHOR PROFILE

福島 晋一 ふくしま しんいち/岡山県出身 1971年生まれ。20歳からロードレースを初め、22歳でオランダに単身自転車武者修行。卒業後、ブリヂストンアンカーに所属し2003年全日本チャンピオンを獲得。2004年ツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝、2010年ツールドおきなわ個人総合優勝。2003年から始めたチーム「ボンシャンス」代表に就任。2013年シーズンを最後に引退。JOCのスポーツ指導者育成制度でフランスのコンチネンタルチーム「ラ・ポム・マルセイユ」の監督として2年間の研修を経て、現在はアジアのロードレース普及を目指しアジアサイクリングアカデミーを主宰している。 アジアサイクリングアカデミー筆者の公式ブログはこちら

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