福島晋一「土地がやせる氾濫」
今の世の中は情報が氾濫している。そして、自分も中毒のようにスマートフォンから次々と流れてくる情報を見ているが、ほとんどが自分にはあまり関係のない情報だったりする。
こういう世の中だから、情報を整理して必要な事だけ知る方法を見つける必要があるが、情報を流す側としては、中毒者をどんどん増やしたい訳で、やり口は複雑かつ巧妙化している。
とはいえ、自転車のロードレースに関わるものとしてはその利益をかなり享受している。
むかし、日本にいてはほとんど欧州のの自転車ロードレースが見れなかった94年。オランダに半年間、自転車留学した自分はある人に頼まれて、クラシックレースをビデオテープに録画して日本に送るバイトをしていた。
日本で何人の人の目に入ったか分からないが、それくらい情報が伝わるのが遅かったのだ。だからと言って、当時が豊かでなかったかと言えばそうではない訳で、だれも不便も感じていなかったし、ローカルなレースでも観客は多く盛り上がっていた。
最近はツールドフランスこそ盛り上がっているが、ローカルな大会は寂しいものである。実際、会場に見に行くよりもテレビの前にいた方がよく見れるのである。
情報の氾濫は人々の想像力を奪い興味を半減させる。
昔は情報を得る為に高い山を登らなくては得られなかった。今は山頂にヘリでいける。そして、興味は山頂にばかり集まり、裾野に気にかける人がへる。
裾野あっての山頂である。