栗村修「買い取り希望」

Posted on: 2014.06.20

オランダのUCIプロチームをサポートする 『ベルキン社』 から、今シーズン限りでのスポンサード事業からの撤退が発表されました。

2012年シーズン、ドーピング問題が原因で長年チームをサポートしてきた『ラボバンク社』が撤退したのち、その『ラボバンク社』が支払った保証金で2013年シーズンをスタートした『ブランコプロサイクリング』を新たにサポートする形で電撃的にメインスポンサーに名乗りを挙げた『ベルキン社』でしたが、わずか1年半での撤退となってしまいました。

現状、様々なリスクを抱えているロードレース界をサポートしてくれた『ベルキン社』には心から感謝をしなくてはなりませんが、チーム運営というものをほぼ100%チーム側の自己責任に委ねてしまっている現状が続く限り、この様なニュースは今後も繰り返されていくことでしょう。

そして、実力があっても運やタイミングによって現役引退に追い込まれてしまう選手も後を絶たないと感じています。

もちろんF1ドライバーのアロンソがチームを創る話など、一方でポジティブなニュースもあったりはしますが、現在のプロロードレース界というものが“伝統”や“ブーム”という、どちらかというと受身的な要素の上でバランスが保たれている状況をみる限り、この不安定な環境は簡単には改善されないはずです。

今季、ここまでベルキン勢の活躍は素晴らしいものがありますし、ラボバンク時代から続いているオランダの“選手発掘&育成”のシステムは今でも十分過ぎるほど機能しているといえます。

そんなある意味でポジティブな状況下でのメインスポンサー撤退のニュースに、所属する選手や運営スタッフは心を痛めているはずです。

過去のドーピングスキャンダルを除けば十分にサポートするだけの価値があるチームなだけに、東京五輪に向けて日本の資本がまるっと買い取ってくれたりしませんかね?

このチームの中には良くも悪しくもプロサイクリングに必要なノウハウが全て詰まっているはずなので…

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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