栗村修「新城選手の快挙」

Posted on: 2014.04.22

先日オランダで開催されたUCIワールドツアーの 『アムステル・ゴールドレース』 に於いて、日本の新城幸也選手(ユーロップカー)が10位に入るという快挙を成し遂げました!

新城選手はこれまでも数多くの優れたリザルトを残して我々をいつも驚かしてくれましたが、今回の成績は間違いなく彼自身にとっても、そして日本のロードレース界にとっても最高の成績だったといえるでしょう。

ちなみにこれまで新城選手が残してきた主なリザルトは以下の通りです。

2014 Amstel Gold Race(1.UWT) 10位(春/メジャークラシック)
2013 Tour du Limousin(2.1) 総合2位(秋)
2012 Tour du Limousin(2.HC) 総合優勝(秋)
2010 Paris-Tours(1.HC) 5位(約80名の集団ゴール/秋)
2010 World Championships Road Race(WC) 9位(約25名の集団ゴール/秋)
2010 Giro dエItalia(GT) Stage4 3位(3名で逃げ切り)
2009 Tour de France(GT) Stage2 5位(集団ゴール)
2009 4 Jours de Dunkerque(2.HC) 総合9位(春)
※レースクラスは開催当時の表記

今回は“10”という数字なので、これまで新城選手が残してきた“それ以上”の数字に負けてしまっている様に感じる方々もいらっしゃるとは思いますが、アムステル・ゴールドレースで10位はとてつもなく凄い結果なのです。

これまでの新城選手のリザルトも非常に驚異的ではありますが、彼が得意としている秋の時期のレースというのは、やはり春に比べると各選手のコンディションは違いますし、世界選手権についても強豪国からの出場選手数が減るので同様に春のメジャークラシックよりかは入賞の可能性が高まります。

そして、グランツールのステージ順位もこれまたあっぱれではありますが、やはりガチンコ真っ向勝負とは少し内容が変わってきます。

しかし、今回のアルデンヌクラシックは251kmの行程の中に34の丘と1,000のカーブが含まれ、集団内で“脚を貯める”という行為などまったくできず、更に多くのプロチームが万全の体制で、ベストメンバーで、更に秋とは比べものにならないコンディションで多くのトップ選手たちが挑んでくる頂点の戦いなのです。

そこであの位置でゴールしたということは、少し大袈裟かもしれませんが 『世界で10番目の脚を見せた(アルデンヌ系のワンデーレースに於いて)』 という言葉を使ってもあながち間違いではない気がします。

これまでも新城選手は日本人レーサーとして数々の扉を開いてきましたが、今の新城選手はこれまでの新城幸也を更に大きく凌駕しています。

完全にステージが切り替わったような、そんな衝撃的な瞬間を目撃した夜でした!

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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